ハワイ


【徒然】

先週1ヶ月の日本滞在から戻って来ました。日本の人にとって多くの場合、ハワイは非日常的な癒しの空間だけれども、私にとっては毎日働いて生きている「仕事場」。一年居るとストレスも溜まります。そんなわけで、日本行きは本当に楽しみな行事になっています。 とはいっても、日本滞在中に、雅楽のレッスンが数回あり、80歳を過ぎた母親が元気にしているかどうか様子も見、溜まった用事をこなしていると、一ヶ月などあっという間に立ってしまうので、ホノルルに居る時よりも、ずっと忙しく動き回っているんですが 。 それでも、1日だけは、日常の空間では過ごす事の出来ない「すべての『用事』から解き放たれた、自分だけの為に使う時間」をとるようにしています。私の場合、それは高い山を見ながらボーッとしたりする事。その思い出があるだけで、もう一年がんばれるような気がするんです。今回も南アルプスの神々しい山々を拝むことが出来ました。森に入ったとたんに、大きなカモシカにも出会いました。夕暮れの薄暗い林の中で、音も無くじっとこちらを見ていて、感動に胸が震えました。なんといいましょうか。私がこうして私の世界を生きている、その同じ時に、カモシカはカモシカでああやって生きている。それが現実としてある事が、たまらなく嬉しいような、そんな気がするんです。 また、今回は、去年他界されたマイミクのケンさんの奥さん、予備校時代にケンさんと一緒に親しくしていたO君とも30年ぶりに会い、3人でケンさんの思い出話に花が咲きました。80年代にケンさんがイタリアに留学中、私が出した手紙をケンさんは捨てないで持っていてくれたようで、奥さんが私のところにまとめて送って下さって、なんとも懐かしい気持ちで読み返しました。私の所にもケンさんからもらった手紙−−緑と赤の縞の縁取りの、いかにもイタリアらしい封筒に入った−−が数枚残っていて、これも数十年ぶりに読み返しました。ケンさんの手紙は、いつも絵に対する情熱に溢れていましたが、数年前にミクシで再会してケンさんの日記を読んだ時にもその情熱が少しも変わっていないのに私は圧倒される思いでいました。ケンさんは、純粋だった10代の頃の魂をそのまま持ち続けたんだな、と感じずにはいられず、それに比して自分は、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、精神的にも世間の埃を被ったような気がして、ケンさんからマイミクのお誘いが来た時、昔とは違う自分を見せる事が、本音を言えば辛く感じたのも事実でした。そんな事もあって、なぜか帰国しても会おうといえなかった。でも、いつかは会って、また映画や美術や音楽の話を延々としたい、と思っていたのに、それも叶わなくなってしまって。。。この1年間、そのことがいつも頭の隅にありました。でも、今思うと、ケンさんにとっては、今の私が何をやっていようと、そんな事はどうでも良かったんだと思うんです。何をやっているか。それはとても表面的な事だから。 何はともあれ。若い頃をふりかえると、あれから色々な事があって、今、私は2度目の人生を生きているような気がしています。1度目の人生はひとまず終わった。そして、今は別のスタート地点に立っている。今なら。今ならもう少し良く生きられるんじゃないか。そう感じたりしているこの頃です。

ハワイ・サンシャインベイビー
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